NXPowerLite 導入事例

海上自衛隊 様

メールで送れなかった重い報告書が、サクサク送受信できるように。
海外に派遣されている艦艇の「情報弱者」状態が解消。


背景:国防と国際貢献


全国に配置された海上自衛隊の基地

海上自衛隊は、周囲を海に囲まれた島国である日本において、国家の安全を守るために非常に重要な役割を担っている。全国各地に配置された基地と、60隻以上の艦艇、200機以上の航空機により、日々、海上防衛の任務に当たっている。

また最近は、ソマリア沖・アデン湾における海賊船対処のために、艦艇や航空機が派遣され、民間船舶の護衛や海域の監視警戒を行っている。国防に限らず、こうした国際貢献活動も積極的に行っている。


問題:艦艇が「情報弱者」に

海上自衛隊では、艦艇・航空機と基地との間の通信を、衛星回線を使用して行っている。PC上で作成した報告書などの資料を電子メールで送受信する際も、衛星回線が使われている。

報告書を作成する際には、海外派遣先の現地の状況や、任務の遂行状況などを分かりやすく伝えるために、詳細な写真画像が貼り付けられることが多い。言葉で説明するよりも、ビジュアルで説明した方が簡潔で分かりやすいためだ。

しかし、画像を多用するために、作成された資料のファイル容量が非常に大きくなり、メールでの送受信に支障が出ていた。


艦艇ではファイルの受信に時間がかかっていた

衛星回線の帯域は、状況によっては64Kbps〜512Kbps程度となることもあり、非常に限られている。数MBもあるような重い報告書ファイルを送るには厳しい環境だ。だから、急ぎの資料をメールで送っても、なかなか届かない。資料のダウンロードに時間がかかりすぎて接続がタイムアウトになり、結局受信できないという事態も発生していた。これはメールでの送受信に限った話ではない。国内の基地の文書管理サーバから艦艇の搭乗員が資料をダウンロードする際にも同じような問題が発生していた。

そのため、写真を貼り付けた報告書を見れば一目で分かるような内容も、衛星回線経由で電話をかけて、口頭で長々と説明せざるを得なかったという。

海上自衛隊の海外派遣活動においては、艦艇がまさに任務の最前線である。最前線にいる艦艇の搭乗員が、必要な情報を迅速にやり取りできず、「情報弱者」になってしまっていたのだ。

しかし、限られた予算の中、簡単には高価な衛星回線を増強することができない。海上自衛隊では、現状の衛星回線を前提として、艦艇の「情報弱者」状態をいかに解決するかが重要な課題となっていた。


解決策:NXPowerLiteを購入

そうした中、防衛省・自衛隊向けのクローズドな研究会であるオープンシステム研究会において、NXPowerLiteが発表された。2009年5 月のことだ。世界中の軍事関係での25万ライセンス以上の導入実績や、米海軍、NATO軍における具体的な導入事例などが発表された。

その導入事例で説明された課題は、まさに海上自衛隊が抱えていた課題そのものであった。つまり、帯域が制限された衛星通信環境の下で、重い写真画像を含んだ報告書ファイルをいかに迅速にメールでやり取りするか、という課題である。

米海軍やNATO軍は、NXPowerLiteによりこの課題を解決していた。特に、標準メールクライアントとして使っているMicrosoft OutlookにNXPowerLiteを組み込むことで(インストール時に自動的に組み込まれる)、隊員が重いファイルをメールに添付して送信する際に、自動的に軽量化できるという点が、非常に効果的だったという。

この発表を聞いて、海上自衛隊のシステム通信隊群司令部は、早速NXPowerLiteの導入検討に入った。検討に際しては、米海軍が洋上演習においてNXPowerLiteを詳細にテストした際の評価レポート 「NXPowerLite Trident Warrior 2007 Experimentation And Results」(PDFファイル)も参考にしたという。


米海軍の評価レポート
NXPowerLite Trident Warrior 2007 Experimentation And Results

検討を開始してから数ヶ月後の2010年2月に調達のための入札を公示し、3月上旬に5,000ライセンスを購入した。


導入展開:海外派遣の艦艇から配布


海賊船対処活動の水上部隊

購入した5,000ライセンスは、まずは海外に派遣されている艦艇や航空隊に対して優先的に配布された。海賊船対処のためにソマリア沖に派遣されている水上部隊・航空部隊であり、国際貢献活動の最前線の部隊だ。その後、国内基地の各部隊にも順次配布されていった。

インストールの際には、米海軍やNATO軍と同様に、メールクライアントとも自動的に連携させている。これにより、隊員が特別な操作をしなくても、自動的に送信メールの添付ファイルが圧縮されるという運用を実現している。


導入効果:「情報弱者」状態が解消

NXPowerLiteの導入により、陸上の基地はもちろん、艦艇の上でも、写真を貼り付けた重い文書ファイルをサクサク送受信できるようになった。艦艇へも迅速かつ確実に重要な報告事項を伝達することができるようになったことで、最前線の「情報弱者」状態が解消されている。


海上自衛隊の哨戒機 P-3C

そして、ネットワーク負荷も減少している。高額な衛星通信回線を考えると、コストの点でも非常に意味のあることと言える。

こうした導入効果を受け、現在購入済みの5,000ライセンスから、将来的には2万〜2万5,000ライセンスへと導入範囲が広がる可能性もあるようだ。

また、2010年8月のオープンシステム研究会において、この海上自衛隊でのNXPowerLite導入事例が発表されたことがきっかけとなり、陸上自衛隊や航空自衛隊でも導入される可能性が出てきているという。

NXPowerLiteは、コミュニケーションの観点から、日本の国防や国際貢献を支援していると言えそうだ。


ソマリア沖で民間の船舶を護衛する海上自衛隊の護衛艦と哨戒ヘリコプター

  • 2010年9月 オーシャンブリッジ執筆
  • 画像出典:防衛省・海上自衛隊ホームページ

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