

1917年(大正6年)創立の造船業の老舗、三井造船株式会社の千葉造船工場 情報グループ IT担当主管の西島勝氏に、造船業においてPowerPointが多用される理由、そこから生じる問題点、そしてNXPowerLiteがその問題点をどう解決していったかについて、詳しく聞いた。
(写真左から2人目が西島氏、右隣は弊社社長 高山、両端は弊社スタッフ早川・井上)
目次
NXPowerliteの活用内容と導入効果
〜300MBファイルを1MBに圧縮
— 三井造船では、NXPowerLiteをどのように活用していますか。
2007年1月に、ここ千葉造船工場で、NXPowerLiteを50ライセンス購入しました。NXPowerLiteは製造業の業務の実情に適したソフトウエアなので、今後は築地本社、玉野造船工場、大分造船工場など全社に導入されるものと考えています。
— NXPowerLiteの導入効果をお聞かせください。
NXPowerLiteの場合、PowerPointファイルの圧縮実績で効果を説明するのが適切でしょう。今までで最も圧縮率が高かった例としては、300MB以上のPowerPointファイルが1MBに縮小できた例があります。

PowerPointのサイズ縮小により、二つの効果が生じています。
第一に、「サーバ容量への負担の軽減」。サーバ容量は有限です。ハードディスクを増設すれば経費がかかります。無駄なく使う必要があります。
第二に、「海外とのデータ転送通信費の削減」。海外に出張すると、ブロードバンド環境はないことの方が多い。普通は、電話回線でデータ通信を行います。その時に何十MBのPowerPointファイルを日本に送信したら、電話代が大変なことになります。しかし、今は NXPowerLiteでファイルサイズを小さくできるので、電話代は大幅に軽減できます。
— 率直な話として、そもそも「300MBのPowerPointファイルが社内で作成されたこと」に驚いています。300MBの中身はいったい何だったのでしょうか。
第一の質問、「300MBのPowerPointの中身は何か」。実物を見た方が早いですね。このようなものです。ファイルサイズが肥大した理由は、デジカメ写真の貼り付けが多いからです。

300MBの巨大ファイルは極端な例です。しかし30〜50MBぐらいのPowerPointファイルは、造船業の場合、業務の中で日常的に生じます。
なぜ三井造船では、巨大なPowerPointファイルが生じやすいのか
— なぜ、三井造船では巨大なPowerPointファイルが生じやすいのですか。
巨大ファイルが生じやすいことには、次の3つの背景があります。
- 工場なので、「写真」が重要である。
- 工場なので、「パソコン操作の習熟」は最重要ではない。
- 三井造船では、年に二度、BPSという「業務改善成果の全社発表会」を行っている。
- 背景その1 〜 「工場なので、『写真』が重要」
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— 順々にお聞きします。重いPowerPointファイルが生じる背景その1、「工場なので、『写真』が重要である」とは具体的には。
工場での仕事は、「会議室で概念を語り合う仕事」ではなく、「現場でモノを作る仕事」です。報告においては、「言葉」で概念を伝えるよりも、「絵や写真」で、実際のモノ(現状、現場)を見せることの方が、良いこととされています。
最近はデジタルカメラの普及により、写真(画像)の活用機会はさらに増えました。今は工場での安全関係、品質関係の業務文書は、写真入り PowerPointが主流です(※)。皆、文書を少しでも分かりやすくしようと、画像をベタベタと大量に貼りこみます。その結果、PowerPoint ファイルがついつい巨大化する。時には勢い余って、300MBのファイルも生じるわけです。
※かつては、社内の絵の名手に頼んで、絵(マンガ)を描いてもらっていました。 
- 背景その2 〜 「工場なので、『パソコン操作の習熟』は最重要ではない」
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— 重いPowerPointファイルが生じる背景その2、「工場なので、『パソコン操作の習熟』は最重要ではない」とは具体的には。
会社員の勤務風景と言えば、一般的には「オフィスでパソコンに向かい合っている姿」がよくイメージされます。しかし三井造船では、例えば、工場の現場を統括する作業長さんなどは、勤務時間中は、事務所で座席につくことは許されていません。
作業長さんの仕事は、工場内を歩き回って、部下の仕事ぶりをチェックし、品質や安全について指導することです。席についてパソコンに触るのは、現場での指導を終えた後の、わずかな時間だけです。
このような職場環境では、「パソコン操作の習熟」は重要視されません。パソコン操作への知識、意欲、習熟度は、おそらく、普通のオフィスワーカーよりも低いはずです。この職場環境が「重いPowerPointファイルを作ることに、ためらいを持たない」ことの背景の一つでしょう。
50MBのPowerPointファイル。常にPCの前で仕事をしている普通のオフィスワーカーであれば、巨大だと感じ、作成にためらいを感じるでしょう。しかし、それは「50MB」がいかに大きいか、どんな問題を生じるのか、「実感」があるから、ためらえるのです。メールで送ろうとするとエラーになったり、自分のディスク容量を圧迫したり。
工場勤務においては、そのような「実感」は生まれにくい。造船所に務めていれば、300トンと3トンの違いは、ありありと「実感」できます。一方、作業長さんの本来の役割からすれば、ある意味余分な仕事とも言えるPC作業が生み出した、300MBと3MBの違いとなると、「実感」はできない。数字の違いにしか見えません。
だから数十MBの巨大ファイルを、つい無造作に作ってしまうのです。
- 背景その3 〜 「三井造船では、BPS活動を行っている」
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— 重いPowerPointファイルが生じる背景その3、「三井造船では、BPS活動を行っている」とは。
BPS(Best Practice Sharingの略)とは、三井造船が全社を挙げて行っている、業務改善運動の名称です。毎年6月と11月には、千葉造船工場と玉野造船工場で、それぞれ「全社発表会」が行われます。
まずは玉野造船工場や本社、支社など全社から、代表10チームが選ばれます。次に各ブロックの代表が、ここ千葉造船工場に集結し、社長や役員を前にしてプレゼンテーションを行います。地区予選に勝ち抜き、全国大会に出場するイメージです。
この発表会で優勝することは、社員にとって名誉なことです。プレゼン時間は一人あたり15分。制限時間内でいかに、社長や役員にインパクトを与えられるか。皆、知恵を絞って工夫します。
となると、プレゼン用のPowerPointファイルに、自分のとっておきの画像をたくさん貼りつけて、ビジュアルを強化しようとするでしょう。人情として当然のことと理解できます。
実は、例の300MBのPowerPointファイルは、このBPSのプレゼン用ファイルの一つでした。
『PowerPointが重いこと』によりどんな業務上の弊害が生じていたか
— ここまでで、三井造船の中で重いPowerPointが生じてしまう背景が分かりました。続いて、「『PowerPointが重いこと』により生じていた業務上の弊害、問題」を教えてください。
PowerPointファイルが重いことにより、以下の3つの問題が生じていました。
- BPSの議事進行の妨げ
- メールボックスがすぐに満杯になる
- サーバや回線など、ITリソースの浪費
- 弊害その1、「BPSの議事進行の妨げ」
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— 順々にお聞きします。弊害その1、「BPSの議事進行の妨げ」とは、具体的には
100MBを超える巨大PowerPointファイルは、起動するだけで数分を要します。時にはマシンがフリーズすることもあります。社長や役員の前でプレゼンする時に、そんなみっともない事態が起きてはいけません。
- 弊害その2、「メールボックスがすぐに満杯になる」
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— 弊害その2、「メールボックスがすぐに満杯になる」とは。
重いPowerPointをメール添付することにより、メールサーバ上の各社員用のメールボックス容量が、たちまち満杯になるという弊害です。
前述したとおり、造船業の日常業務では、デジカメ画像が多用されます。何かトラブルや事故が起きた場合は、その現場をデジカメで撮影し、それを PowerPointに貼り付けて報告書を作成し、関係者にメール送付。そのビジュアル報告書を元に、原因を検証し、対策を論じます。
また海外の協力会社から、画像入りPowerPointファイルが送られてくることも頻繁にあります。
三井造船のメールボックス容量は上限100MBです。上限100MBを超えると送受信が不可能になります。さて、もし50MBのPowerPointファイルを添付したメールを2通送ったらどうなるか…。それだけでメールボックスは満杯になります。
特に出張時などは、ファイルを自分のPCの個人フォルダに移動できません。こんな時に重いPowerPoint添付のせいでメールボックスが満杯になると、大変です。仕事になりません。
- 弊害その3、「サーバや回線など、ITリソースの浪費」
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— 弊害その3、「サーバや回線など、ITリソースの浪費」とは。
数十MBの添付ファイルがついたメールを送受信するのは、明らかにネットワーク回線やサーバディスク容量の資源の浪費です。しかし、前述したとおり、ほとんどの社員には、大きなファイルがいけないという「実感」がない。「ネットワークリソースの無駄」や「サーバのディスクの浪費」もイメージしにくい。「トラフィックがどうの、ディスクがどうのといっても、最後にメールが届けば、それでいい」ぐらいの感覚でしかないでしょう。
今までの最悪のケースは、「ある社員が、50MBの添付ファイルを、グローバルアドレス百何十人に同時送信した例」です。グローバルアドレスには、海外アドレスも含まれます。ネットワーク回線の、世界規模での壮大な無駄遣いでした。
こうした問題をどう解決するか。「デジカメ写真はサイズや解像度を落としてから貼り付けましょう」などと呼びかけたり啓蒙したりしても、問題だという実感がないため、効果が薄い。属人的なやり方ではなく、何とか仕組みで解決する方法はないかと模索していました。
そして2006年12月に、NXPowerLiteのことを知りました。早速、体験版をダウンロードして使ってみました。
NXPowerLiteの使用感・現場社員の評価
— 体験版を使ってみての感想はいかがでしたか。
PowerPointファイルをひょいと放り込むだけで、あっという間にサイズが小さくなる。画期的だと思いました(※)。さらにOutlookと組み合わせれば、「ひょいと放り込む」手間さえない。メールに添付すれば、全自動で、ファイルが小さくなる。しかも300MBが1MBというように、信じられないほど小さくなる。これはスゴイと思い、予算をやり繰りして、千葉造船工場用に50ライセンスを購入しました。
※かつては、ペイントブラシなどで画像をJPGやTIFに変換してから、PowerPointに貼り付けるよう、社内に呼びかけたこともありました。しかし、そのよ うな手順は面倒なので、誰も従いませんでした。

— 現場社員の皆様からの評価はいかがですか。
とにかく簡単という点が評判です。とにかくみんな、PC操作でややこしいことをしたくない。その点で、OutlookとNXPowerLiteの組み合わせならば、全自動で圧縮してくれるわけです。今まで述べた問題、弊害は一気に解決しました。ありがとうございます。
NXPowerLiteは、どんな会社に向いているか
— NXPowerLiteは、どんな会社に向いていると思いますか。
単純な話として、画像やPowerPointを多用する会社に向いていると思います。
特に、造船業をはじめとする製造業では、報告書その他において写真が多用されるので、向いているでしょう。その他、住宅会社など、写真を用いるプレゼンの機会が多い会社にも向いているのではないでしょうか。
オーシャンブリッジという会社自体への評価と、今後の期待
— オーシャンブリッジという会社自体は、西島様の目から見て、いかがですか。
私は、高山社長に感心しています。NXPowerLiteやら、Net-It Centralやら、よくああいう「使えるソフト」を、次から次に見つけてこられるものだと。
たいていのソフトは、あれもできます。これもできます、といって余分な機能をつける。しかし、オーシャンブリッジは、「割り切って単機能」という製品を提供してきます。しかも、その単機能が的を射ている。
まずNet-It Central。2003年に導入し、ナレッジポータルとして活用しています。現在は文書の共有・検索が中心ですが、将来は製造現場でのCAD図面共有にも活用する予定です。
ProjectDoxも良いですね。CADデータを変換してWebで共有し、その変換データに対し、電子的にコメントや図形を書き込んだり、付箋がペタペタ貼れる。我々は、これまで紙の設計図に、付箋を貼ったり書き込みをしたりして、議論してきました。それと同じ感覚で使えそうです。違和感がない。
手書きや付箋に優る点もあります。ログインユーザ名によって誰が書いたのかが履歴に残せる点。複数のメンバーが書き込んだ内容を一つの画面で重ねて表示できる点などです。ProjectDoxは、今、真剣に導入を検討しています。
NXPowerLite、Net-It Central、ProjectDox。いずれも三井造船にとって的を射たソフトです。製造業のツボをついたソフトを次々と見付けて来る、高山社長の選球眼は、不思議です。
— オーシャンブリッジへの今後の期待をお聞かせください。
今回、NXPowerLiteの導入により、三井造船では、業務効率やシステムリソース効率を大きく改善できました。その改善が、「人手を介さず、自動的に」実現できている点に、ツールを導入した真価を感じています。NXPowerLiteは本社でも評判になっています。近い将来、おそらく全社導入されるのではないでしょうか。
全社で導入すれば、本社管轄の各種サーバや各事業部所有のサーバのディスク増設費用も軽減でき、さらに全社的なネットワーク上のトラフィック軽減にも効果があるので、千葉工場以上に大きな投資対効果が期待できるのではないでしょうか。
また全社的に見ると、PowerPoint以上に、WordやExcel上で写真を貼り付けて、吹き出し線付きでコメントや図形を書き込んだ資料が多いんです。WordやExcelの圧縮にも対応したNXPowerLiteのバージョン3を使えば、さらに導入メリットが出てくると思っています。
オーシャンブリッジには、今後も優良なソフトウエアをご提供いただき、三井造船の業務改善を支援いただけるよう期待いたします。高山社長が、次に、どんな「使えるソフト」を見つけてくるか。期待しています。
お忙しい中、ありがとうございました。